なお、ここで初めて、日本の医療とイギリスの医療を俯瞰して見ている方の話が聞けたことになる。色々疑問を解きほぐすように話していただいた。
 色々聞く中で、治療方針としてそう突飛ではなさそうである以上、駆け込んだ病院、担ぎ込まれた病院がいい病院かわからないのは日本でも同じであり、むしろ大病院につながったのはよかったのではないかと、ようやく納得できた。

 興味深かったのは、チームとはいえ、ひとりの先生に継続して見てもらっているのはラッキーではないか、という話だった。NHSでは、「人気病院」をつくらないよう、特定の先生の予約ができない仕組みの病院が多いというのだ。無料である以上、市場原理を働かせてはいけないということか。
 また、プライベートはひとりの先生に頻繁に見てもらえるが、設備やかけられるお金の面で、国がついているNHSはやはりすごいという話もしていただいた。先端医療などは、金に糸目がつかないNHSで医師が腕を振るっているのだと言う。
 逆に言えば、標準治療が確立し、病院側が利益を出せる治療以外は、プライベート医療機関が発展しづらいということだろうとも思った。自分がどうして、お金が出せてもプライベートが見つけられない、という事態にはまったかが少し理解できた。


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(本文とは関係ありません。どこぞの病院で見つけた子。イギリスはどこでもくまを売っています。)