「じゃあ一度道具を用意しに行くから、退院できる恰好で待っててくれ。すぐ戻ってくる。」
白くない巨塔は病室から去っていった。
熱は37度前後まで下がった。私にしては高くなっていた血圧も下がった。色々と不安もあるが、少なくともこれ以上ナースの管理下で寝ている必要はない。着てきたスーツに着替え、病室の写真を撮り、医師らを待った。
が、来ない……。
ちょっと行ってくるというノリだったにもかかわらず、来ない。2時になり3時になった。
ナースたちも医師に連絡してくれたがどうにもならない。土曜だったからか、病室の他の人たちはみんな退院し、病室は私たちだけになった。
ナースとは違う人たちが来て、ベッドのシーツ類を新しくしていった。ベッドはうまくできていて、マットも枕もビニールで覆われていて、簡単に消毒液で拭いていた。そこに洗濯済みのシーツやカバーをかけるのだから、布団経由で菌が蔓延することもない。うまいと思った。
4時になり、5時になった。
ようやく、ラクロス部のキャプテンですというようなさわやかな若い女性の医師が現れた。
「昨日がペイデーだったから、緊急手術が多くて…。ごめんなさいね。」
彼女は疲れた様子で言った。
給料日というのは、土地柄週給か?もらったら、飲む。飲みすぎて転ぶ、あるいはけんかをする。そういう話のようだった。顎顔面外傷科というのは、そういうところだった(1)。
(最後の最後に汚い自分のベッドの写真を撮ることを思いつきました(2))