寝たり起きたりしているうちに日曜が過ぎ、あっという間に外来に行く月曜の朝となった。ちなみに、この月曜の朝までに8つつけたブラケットの6つが取れた。イギリスの医師の腕への私の信頼は地に落ちた。
 朝一番の予約をとっていただいていたので、早朝からロンドンを横断してホワイトチャペルに向かった。いよいよ、GP(プライマリケア)ではない、専門科(セカンダリケア)の外来の受診体験だ。

 心配事の一つは、通訳さんが来てくれるかだった。3日間お付き合いくださった通訳さんは、月曜は先約が入っているとのことだった。代わりの方を予約すべく保険会社の日本の窓口を通して連絡してもらったが、土日が絡んでいるのでイギリスの通訳派遣会社との連絡がついていないとのことだったのだ。
 万が一を考えて、聞きたいことを辞書で引き、メモを用意しておいたが、病院の入り口を入って、ありがたいことにまた付き合ってくれた友人と落ち合うと、日本人男性の方に声をかけられた。先の通訳さんが機転を利かせて手配を頼んでおいてくださったのだそうだ。やはり、助かった、と思った。


 私たちが行ったのは、歯医者棟。A&Eとは違う場所に入り口のある棟だった。中ではつながっているようだったが、何せ入院した場所が結局わからず仕舞いだったので、よくわからない。
 歯医者棟を入って、ホスピタルセブンに行けと言われたのでそこに入ると、日本と大きくは変わらない病院の待合室風景が広がっていた。退院の際に、ラクロス部のキャプテン風の女性医師が、プロフェッサーの名前と私の名前、行く場所と予約時間を書いた手書きのメモをくれていた。受付でそれを見せると、コンピューターで照合されたようだった。
 受付は2人。ともに黒人で、日本だったら許されないであろう爪の色をした20代くらいの女性と、ものすごい量の金色のブレスレットをした40代と見える女性だった。文化だからよいのであろうか。ともに英語は早く、わかりやすくもなく、大変だった。

 呼ばれるまで待てと言われて、待合室に席を確保し、通訳さんにあらかじめ状況説明と聞きたいことを伝えながら待つことにした。
 見渡すと、患者層は多様だったが、人種比率は、後から振り返れば、外のホワイトチャペルを歩いている層と同じくらいだったように思った。あきらかにインド系とわかる人と、カリビアンなのかアフリカンなのか黒人が多かった。白人は少なく、私たちのような東アジア系は浮いていた。
 入院病棟から直接来ていると見える、あの「後ろ向きで引っ張られる車椅子」に乗っている人もいた。顔にガーゼがあたっていたり、足にギプスがされていたり。青あざで顔が気の毒なことになっている方もいた。ホスピタルセブンが口腔外科だけなのかは最後までわからなかったが、そこは、大きな怪我をして、顎顔面にも問題が生じている人たちが来る大病院付属の歯医者だった。


f6-3-1ホスピタル7
(待合室イメージ図。書きなぐりすみません。)