「人工関節になりたくないだろう?」
――人工関節!?
突然、新しい話が始まった。
「人工関節になると、どんなにうまく手術しても、10年で取替えだ。死ぬまでに何回取替え手術が必要になると思う?」
「それは、リハビリをすれば防げるという話ですよね?」
「10年後、20年後、30年後…何度も手術しなくちゃならない。」
――人の話を聞け!!
通訳さんも話が飲み込めないらしく、確認しながら訳してくれるが、プロフェッサーKのテンションはあがり、うろうろしながら人工関節の話をする。訳を待ってくれるわけでもなく、私の質問を通訳してもらうタイムラグもあって結局なんで人工関節の話になったのかよくわからなかった。それを避けるためにリハビリをしろという話なのだと思うが、患者をそうやって脅す必要があるのかもよくわからなかった(1)。
まあ、きっととにかく、リハビリをしろということだ。
「あれをちょうだい。」
そう言って、プロフェッサーが研修医に出させたリハビリ道具が最高にイカしていた。
――アイスのバー…。
バーを口の中に重ねて入れて、ぎりぎりのところでしばしくわえたままにする。開くようになったら、本数を増やしていく――。それが、指示されたリハビリだった。一緒に、開き具合を計る道具として、プラスチック製のものさしも渡された。
せめて、洗える素材にしてほしかった…。
(リハビリ道具。攻略感を高めるために、番号を振ってみました。9枚からのスタート。
入れてくれた袋に「病理標本」と書いてあるのも色々とどうなのか、と(笑)。)
(1)
人工関節は、その後、外科医博物館で実物を見ました。写真禁止だったので撮れなかったのですが、これは嫌だ!と思わされる一品でした。Google画像検索「artificial jaw joint」(※2016年7月30日確認時点では、少し下には生々しい画像も混じっているので要注意!)。