さて、2回目の診察は1週間後。固定もなしで開口訓練をするだけなので、事実上放置に近い。体も動くし話すこともできるのでなるべく日常復帰をしたかったが、けがの炎症のせいか、体力は戻らなかった。自宅で仕事をしてみて、疲れて昼寝をする。起きて研究会に行くが、帰るとバタンキュー。そんな生活が続いた。
 急性期が去ると、怪我をしたときの転倒の勢いが思い出されて、あの勢いで後ろに倒れたら…と怖くなったりもした。気分転換に芝居を見に行ったり、日本人在外研究仲間とお茶をしてNHS病院体験を熱く語ったりしながら、気持ちを前向きにしていった。
 アイスバーは毎日1枚ずつ増やしていけた。


 大きな不便なく生活ができるのはありがたかったが、日本に帰れば一時期大変でも固定をしっかりしてもっときちんと直してくれるのではないかという思いは、ずっと心の片隅にあった。骨折部がつぶれた分、下顎が後ろに下がってしまったようで、上下のかみ合わせが以前と変わってしまって、前歯でものを噛み切れなくなっていた。
 でも、イギリス生活を放棄したくないという気持ちに加えて、ちょっと活動するとへとへとという状態では決断する気力もなく、漫然と1週間が過ぎていった。
 日本の両親が、日本のかかりつけの矯正歯科で事故前の歯並びの写真などをもらってきてメールで送ってくれたので(両親にも日本の先生にも感謝!)、次はそれを持っていこうと思うのが精いっぱいだった。


f7-1-1lemis
(クリスマスイルミネーションの時期で救われた気はします)