早速直近の予約をとり、すぐに行ってみた。私が駆け込んだところは既存の病院の間借りだったが、そこはオフィスビルのワンフロアを使ったおしゃれな診察室だった。入った瞬間、NHKニュースが流れていて、日本の雑誌が置いてあって、妙に感動した。
 診察してくださった先生は、専門外だがと前置きしつつも、とても親身になってくれた。手元にあったプライベート病院のレントゲンと、私の顎の開閉状況を真剣に見てくれた。それによれば、ロイヤル・ロンドン・ホスピタルの診断は妥当な範囲ではないかとのことだった。日本の標準はわからないが、ありえない治療という印象はないと。
 そして、診察回数が最低限なのは、NHSのスキーム上やむをえないのではないかと慰めてくれた。プライベート転院を否定し、日本人医師を紹介してくれるとまで言ったなら、自信の表れなので、よほどウマが合わないとかでなければ任せたほうがいい(1)、それが私が事故後6週間目にして初めて受けられた「セカンドオピニオン」だった。

 ちなみに、この先生からは、もし受傷直後にここに問い合わせていたら自分はひとまず診察したし、私が最初にいった病院に勤めていたならば、緊急外来に日本人が来たならば様子を見に行ったろうという言葉をいただいた。NHSに紹介したあともバックアップしたとも。そうだったらならば、ここまでの1月半近い心労は減ったに違いない。タイミングの問題ではあったが、残念だった(2)。
 
(1)
どうしても変えてほしいという場合は(転居等の場合も)、その医師なり、GPなり、NHSの窓口なりに訴えて、転院の手続きに入るようです。散々書いてきたように、勝手に病院を変えることは、NHSの仕組みではほぼ無理です。しかし、どうしても転院という場合は、7-9) の注1にあるように、やはり予約の壁が立ちはだかります。A&Eに行ってしまうという裏技を除けば。


(2)
この話に限らず、在英中は、同郷ネットワークは、パーソナルな善意と能力でキーになる方によって支えられているなあと思うことがありました。そういう方に、感謝です。


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(待合室の日本のニュースと日本の雑誌!T田アナが聞こえてくる不思議。日本のテレビ契約は、日系不動産屋さんや日系イベントで大量に宣伝をもらいます。私は、BBCの受信料をきちんと払い、思う存分英語の聞き取りの練習しました。アプリでアーカイブも見られるし、良質なドキュメンタリーや歴史プログラムなど、もっともっと見ておきたかったです。)